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May 03, 2016

前在韓国大使「日韓対立の真相」読後感

著者は1948年生まれ。横浜国大を卒業後、外務省入省。初のコリアン・スクール(韓国語研修を受けた)出身の駐韓大使。
反日感情がますます悪化する中で2010~2012年の2年間駐韓大使を務めた貴重な証言の記録として、思わず膝を打つ箇所も多かった。
この著作の趣旨は「反日を言っているのは朴槿恵(パク・クネ)大統領であり、政治家であり、マスコミであり、非政府組織(NGO)だ」と非難している。ついこの前まで韓国駐在の日本国特命全権大使の任にあった人物が、ここまで任国の現職大統領を罵倒するのは異常で衝撃的だ。これは前に読んだ呉善花女史の「殆ど病的ともいえる国民情緒と言うモンスターに寄り添うことで、大統領の座を手に入れた」と言う見方と一致する。
韓国は、国交正常化した昭和40(1965)年以降の日韓の歴史をまったく隠蔽している。日本が真摯に韓国の発展に協力してきたことを、韓国の人は知らない。こうした歴史をきちんと取り上げることで、日韓のわだかまりが相当なくなる
韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の主張にこだわっている限り、日韓関係の改善はない。韓国政府は、挺対協に何も言えなかった。これではだめだ。日本は、アジア女性基金などを通じ誠意を持って慰安婦問題に取り組んできた事実は全く無視されている。
韓国の反日については「韓国では政治を離れ、国民レベルでは、日本が好きという人がむしろ多いと思う」と話し、「反日を言っているのは朴槿恵(パク・クネ)大統領であり、政治家であり、マスコミであり、非政府組織(NGO)だ」と非難した。
決して韓国人民衆は本音では反日的ではないと言う指摘は小生の数カ月間の長期出張(韓国政府のコンテナターミナル最適立地調査プロジェクトに参加を求められた)の際、ホテルの土産物屋の小母さんや娘さんとの交流経験からも納得できる見方である。
むしろ大使が心配しているのは韓国民の反日感情よりも、日本人の嫌韓感情だという。しかしながら、ああも執拗に事実を大幅に歪曲した慰安婦問題を世界中に告げ口外交を展開したり、ソウルの日本大使館前(これは外交関係を規律するウィーン条約違反)や、米国はじめ世界中に慰安婦像を立てまくったりする嫌がらせを目にすれば嫌韓感情が高まろうというものである。
日本経済何するものぞと好調だった韓国経済もこのところ変調を来しつつあり、経済関係を媒介に日韓関係を改善するきっかけにしようという目論見も一部に主張されている。しかし延世大学校国際学部で教授を務めたことのある武貞秀士拓大特任教授は『アジア金融危機になればドルを融通することはしない。中韓のスワップ協定は韓国のドル枯渇には助けにならない。中国が韓国に供与するのは人民元だから。それでも日本は静観する。友人を助けないというのではない。将来の致命的な日韓摩擦を防止するためだ。金融危機のときに日本が軽々に緊急支援をしたらどうなるか。後に「韓国経済を牛耳るために韓国経済の苦境に乗じて韓国にドルを貸した」と韓国の歴史家が記述するだろう』と言う。一体この厄介な国とどのように付き合って行けばよいのか? 没法子(メーファーズ)。
安倍首相は慰安婦問題の早期妥結には「大使館前の慰安婦像の撤去が最低の条件だ」と伝えたというが、日本に対してはどのような非礼(ウィーン条約違反の慰安婦像建立や天皇に対する李明博大統領の極めて非礼な発言)を犯しても、許されるという甘え(反日無罪)を払しょくしない限り、大使が心配する嫌韓感情は悪化するばかりだろうと心配される。

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