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April 28, 2014

韓国フェリー「セウォル号」沈没事故に思う。

4月16日朝6000トンの韓国フェリー「セウォル号」が沈没し、いまだに多数の乗客が船内
に残され、救出されておらず、生存はほぼ絶望的と見られる。
事故発生以来、かつて海運業を生業としてきたものとして、とても信じられない展開に唖
然としている毎日である。
まず何よりも船長ほかのOfficer(高級船員)が乗客を救助することなく、いち早く脱出
したのには開いた口がふさがらなかった。誇り高いSeamanの風上にもおけぬ卑劣さにあき
れた果てたと言うほかない。
確か昭和30年の紫雲丸の事故では濃霧の中高松港を出港した本船は僚船第三宇高丸と衝突
し、修学旅行生を含む168名が犠牲となったが、船長は退船を拒否し、船と運命をともに
した。
昭和29年の洞爺丸事故では台風接近の中、青森向けに出港した後、座礁沈没した。犠牲者
は1155名、船長始め多数の船員が殉職した。
船員のモラルの問題は兎も角も、海運人の端くれとして思うのは韓国の船員には海技知識
の初歩すら知らなかったのではないと、これまた呆れてものが言えない。
われわれ陸上社員でも入社当時からGMの大事さを叩き込まれた。GはGravity(船の重心
)、MはMetacenter(船の浮力の作用点)のことで、Gが常にMより下にあって、GとM
の距離が離れているほど、復元力が働き、船が傾いても元に戻るのが速い。GとMがくっ
つくほど船の復元力は弱くなり、GとMが逆転し、浮力の作用点よりも重心が上に行って
しまえば、船は転覆するしかない。新入社員当時からある貨物の運送契約を結ぼうとした
ときには、上司から「海務部の船乗りのところに行って、GMを計算してもらえ」と厳し
く躾けられたもので、まさにこれは海運人のイロハとも言うべき初歩の常識である。
もう一つはLashing(固縛)の重要性である。普通の貨物船は厳重な隔壁で船倉が幾つに
も分かれていて、一つの船倉が浸水しても、他の船倉は影響がなく、浮力を保てるような
構造になっている。
ところがフェリーボートは車を積むために、後ろから前まで素通しの全通甲板という構造
になっているので、一旦浸水し始めると手のつけようがない。それだけに車両のlashing
が極めて大切である。小生も北海道まで乗用車を積んでフェリーで渡ったことがあるが、
鎖で厳重にlashingを施していた。それすら怠ったとしたら、何を言わんである。
韓国はサムスンの電気、電子機器が日本を圧倒し、現代の車もそこそこ売れているので、
「野蛮な日本人何するものぞ」と馬鹿にして、一流国になり、中国と組んで、東アジア世
界を仕切ろうと言う気になっているようだが、まだまだ基礎(精神的なインフラも含めて
)が出来ておらず、脆弱な土台の上に築かれた楼閣のように思える。
明治以来まだそれほど近代技術の格差が開いていない時期から、西欧諸国とともに試行錯
誤しながら、習得して来た日本の基礎的な技術、ノウハウはまだまだ捨てたものではない
と意を強くした。
何時までも、仮想空間の中で、慰安婦問題など振り回して、日本を貶めれば、自分に国際
的地位が上がる錯覚している時期ではあるまい。

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