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March 09, 2011

「古代ローマ人24時間―よみがえる帝都ローマの民衆生活」読了

アルベルト・アンジェラ(イタリアの科学ジャーナリスト:イタリア国営TVの科学番組のキャスター)著「古代ローマ人24時間―その日常生活、謎、魅力」を読了。ローマが全盛期にあったトラヤヌス帝治下の「紀元115年のある日のローマ」を舞台に取り、遺跡の細部(階段の磨耗具合、漆喰塗りの壁に刻まれた落書き、路上に残された荷車の轍、住宅の大理石の敷居に刻まれた扉の開閉による傷など)に着目して、廃墟から当時の人々が生活する様子を目に浮かぶように想像し、活写すると言う方法で、帝政期ローマの生活の一日の具体的な姿を再現して見せた。商店、部屋、窓・・・・。道行く人々や市場の喧騒、贅を極めた邸宅の内部や、最下層の人々がみを寄せ合って暮らすインスラ、コロッセウスで行われていた公開処刑、食事の風景や娼家の様子、などを観光客のように生き生きと観察できる気分である。まさに「考古学は魔力を持っている」と言うのが著者の持論と言うが、考古学者はこのような想像力を働かせながら、遺跡発掘に従事しているのだろうか? 小学生の頃憧れた考古学者への夢を思い出した。

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