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October 31, 2010

ジャレド・ダイヤモンド「銃・病原菌・鉄」

ジャレド・ダイヤモンドUCLA医学部教授「銃・病原菌・鉄」(草思社刊)読了。
ユーラシアの人類が地球を制覇したのは専ら環境に恵まれたからであって、人種的にすぐれていたからではないと喝破している。
食糧生産を可能にした多くの野生の植生に恵まれたこと、家畜化しやすい動物に恵まれたこと、それが伝播しやすい地形、即ち同緯度の温帯、亜熱帯、亜寒帯が東西に連なり、家畜や農作物が容易にすばやく伝播し、相互の創意工夫が容易に共有できた。それによって、鉄器、病原菌(家畜からうつる)への免疫の獲得、銃器の発明などが武器となって、アメリカ、アフリカ、オーストラリア、ニューギニアなどの大陸を制覇できたのだと言う。人類史科学の提唱は傾聴に値する。
面白かったのは中国の統一国家権力の集中即ち一人の支配者の決定が全国の技術革新の流れを再三再四止めてしまうようなことが起こったと言う指摘である。典型的な例は1405年から1433年にかけて数百隻、乗組総数2万8000人もの大船団による7回のにも及ぶ鄭和のアフリカ大陸東岸にまで至る南海大遠征が国内の政治的対立の結果突然船団の派遣は中止された。造船所は解体され、外洋航海自体も禁止されてしまった。それよりも数十年も後の1492年のたった3隻のコロンブスの船団のアメリカ大陸発見がその後の西欧の発展をもたらした大航海時代の幕開けという歴史的意味を担ったのと大きな違いがある。多数の有力国家が林立し、覇権を巡って切磋琢磨し、その結果技術革新が進展した西欧世界と、大陸全体を支配する専制君主の決定が愚かにも技術革新の後退させてしまった中国の悲劇とのコントラストに慄然とせざるを得ない。
現代中国の中央集権的国家体制は再び同様の悲劇を生み出すことにならないのだろうか? 他人事ながら心配である。

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October 16, 2010

映画「氷雪の門」の鑑賞を勧める。

中学3年の時のクラスメートと横浜地下鉄「阪東橋」駅で落ち合い、料亭「マクドナルド」で株主優待券を使っての昼食。その一人は57年ぶりの再会だ。その後、Jack & Betty で札幌南高出身の同級生ご推薦の映画「氷雪の門」1415~1620を鑑賞。8/15後のポツダム宣言受けいれ後も日ソ中立条約を一方的に破棄し、国際法を無視して進撃し、無辜の市民を虐殺すると言う暴虐の中、電話交換の職務を最後まで全うしながら自決せざる得なかった9人の乙女の物語。1974年に5億円数千億円の巨費を投じて製作されたが、ソ連大使館の抗議により公開が中止になった曰くつきの映画。36年ぶりに劇場公開。一見の価値、見甲斐のある大作だ。ソ連=ロシアと言うのもひどい国だが、日本も不甲斐ない。昔、我々の学生時代にもソ同盟と礼賛し、日本に革命を起こし、ソ連の衛星国にしようと本気で考えていた阿呆がいたが・・・・・・・。同館で10/29まで上映が延長されたとか。まだ見ておられないようなら、ご一見を勧める。

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October 12, 2010

国分寺崖線沿いの野川を歩く

先日大学のクラスメートと同級生の最高裁判事が在任中こよなく愛したと言う野川沿いのウォーキング・コースを歩いてきた。

<歩行ルート>成城学園高級住宅街→野川河畔→深大寺に寄り道(深大寺蕎麦の昼食?)→野川河畔→野川公園→東京外語大新キャンパス 

<歩行距離>成城学園→深大寺 6km 深大寺→野川公園 4km 野川公園→東京外語大 1km 外語大→飛田給1.6km 合計13km弱。

<成城学園高級住宅街>駅を降りて、しばらく成城学園の高級住宅街を歩く。流石に成城らしい、庭の広い、鬱蒼とした樹木の豪邸が続く。

<野川河畔サイクリングロード>滝井最高裁判事が在任中の休日に愛された散歩道とご本人から聞いたが、最終的には何処まで歩かれるのを常とされたのか、聞き忘れたが、もし野川公園までだとすると、9km近くある。相当な健脚だと感心する。
判事に比べると軟弱な東京J3会の面々、「深大寺には美味しい蕎麦あるよ」との甘言に釣られて、遅い歩みを進める。途中野川には水鳥が遊んでいる。白鷺は此処が縄張りだとばかりに、ほぼ100mごとに悠然と水中に立っている。微動だにしないその姿は丸で鳥の哲学者だ。

<深大寺そば>およそ2時間くらいで深大寺に着く。深大寺は天平年間(733年)に創建された古刹である。国分寺崖線の境界に立つ深大寺は豊富な湧水に恵まれて、鬱蒼とした樹木に囲まれた名刹である。その湧水の所為もあって蕎麦が美味いという。ただ蕎麦屋は無数にあるが、ネット情報によると:
深大寺蕎麦ランキング
特Aクラス:湧水、松葉茶屋 、
Aクラス :玉乃屋 、雀のお宿(やや値段高し)、深水庵
Bクラス :大○○屋、一○庵、元○○○屋 、八○(AとBの中間を漂う)、
陣○(そばはAだが値段高し)、玉○
Cクラス :き○し、門○そ○ 、多○、鈴○、○福○屋(食後の葡萄に免じて)
時○茶○(閉店)、深○茶○、青○屋
Dクラス : その他明記されていない店
その評価基準は下記の通りとか、
特A:そばを食べるために深大寺にわざわざくる価値のある店
A :深大寺を訪れたときには一度はぜひ寄って欲しい店
B :格別深大寺でなくても食べれる普通の店
C :俗に「観光地にありがちな味」の店!
D :?恐いもの見たさ、度胸試しが好きな人向けの店

我々は勿論一直線に特A店「松葉茶屋」を目指す。特Aだからと言って特に高いわけではない(天麩羅蕎麦¥1300)。一同満足。

<再び野川河畔から野川公園へ>
食後、深大寺を参拝。東京天文台の森を見ながら、再び野川河畔に戻り、野川公園を目指す。もう深大寺蕎麦と言う人参がなくなったので、歩みは鈍り勝ち。滝井判事のゆかりの地を目指すと言うのだけを支えに只管歩く。途中野川南岸にテニスコートが4面もある大学キャンパス風の施設が見えたが、宇宙航空研究機構の研究所の一つと言う。

<野川公園>
野川公園は国分寺の日立中央研究所の湧水を源流として、二子玉川で多摩川に合流する野川(延長21km)に更に湧水を注ぎ込む地域を公園にしたもの(嘗てはICUのゴルフ場だったらしい)。園内に自然観察園があって、季節とりどりの花が咲き乱れ、初夏には源氏蛍が飛び交うと言う。野川は古多摩川が削り取った河岸段丘(国分寺崖線)の崖(「はけ」と言うらしい)の彼方此方から水がしみ出していて、清水に恵まれている。野川公園や深大寺はその一部である。

<東京外語大>
野川公園まで来て、目的を果たしたと言う気分になったが、さらに当初設定したコースを完歩するという達成感を味わうためだけに、東京外語大を目指す。2000年に北区西ヶ原の旧キャンパスから引越しを開始したらしいが、新キャンパスは新天地に計画的に建造しただけあって、円形の二階建て歩道で囲まれた広場(アゴラ)を中心に研究棟、教室、研究所が配置されたキャンパスは整然としていてとても美しい。
大学では26言語を教えており、7割が女子学生だという。その辺にいた男子学生に「恵まれているね」と言ったら、苦笑いしていた。

<飛田給駅>
外大から警察大学校、警視庁警察学校のキャンパスの横を通って最寄り駅の飛田給を目指す。飛田給まで行けばビールが飲めると思いきや、田舎駅(サッカーの味の素スタジアムが出来て、大分賑やかになったが・・・)の飲み屋は1700開店という。仕方なく2駅電車に乗って調布駅で下車。駅前の「つぼ八」で漸く念願の生ビール2杯にありついた。
約26000歩を完歩したが、足の裏が痛いとのクレームはあったが、それなりの達成感はあったようだ。

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