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July 13, 2009

「横田めぐみ」拉致事件の講演を聴く。

 先週,、川崎青年会議所主催による横田夫妻を招いての北朝鮮拉致問題の講演会を聴きに行った。
 日銀新潟支店からの転勤を断り続けて、まさか海を隔てた北朝鮮の諜報機関に拉致されたとは知らずに、訳も分からないまま20年間も行方不明の「めぐみ」ちゃんを探し続けたご夫妻の話は涙なしには聴けなかった。拉致問題が表面化し始めた頃、「それは、ありもしない言いがかりで、朝鮮人民との友好関係を害するもの」と論じた当時の社会党の国際感覚、人権感覚も改めて弾劾されなければならないと思った。
 平安時代の「安寿の厨子王」ではあるまいに、20世紀の現代に人攫いが横行し、しかも国家機関が関与したなどは信じがたい事態である。
 北朝鮮とその宗主国の中国は日本の植民地化やシナ事変の際の日本軍の暴虐振りを喧伝するが、帝国主義時代の植民地化は取るか取られるかのゼロサムゲーム(日本が朝鮮を植民地化しなければ、ロシアがそうしただけのこと)だったし、戦時の悲劇は何時暗闇からテロに反撃されかねない状況(戦時の異常心理)の中での悲劇だった。それと平時にいたいけない少女を誘拐し、しかもその事態が未だに解決せず持続しているのとを同列に論じることは出来ない。正当防衛を構成する緊迫不正の人権侵害状態が持続している状態と、ありうるとしても、もはや損害賠償の対象にしかなり得ない過去の不正とは根本的に違うのだ。
 やはり中国の人権感覚(チベットや新疆ウイグルは植民地化ではないのか)は未だしもであり、世界の超大国として台頭が果たして世界人類に幸福をもたらすのか、災いとなるのか危惧されるところである。

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July 10, 2009

「海のエジプト展」を鑑賞する。

 先日パシフィコ横浜で開かれている朝日新聞社主催の「海のエジプト展」を鑑賞して
きた。
 近年「海洋考古学」という分野の学問が急速に発達してきているという事実は仄聞し
ていたが、その成果を目の当たりにするのは、興味津々であった。
 商売柄、古代殷賑を極めたアレキサンドリア港や「世界の7不思議」といわれた灯台
(ファロス―134mもの高さであったという)には関心を持っていたが、そのイラス
トでその威容を見ることが出来たのも収穫であった。
 また、スフィンクスの顔はその時代の王を描いたものという事実は始めて知った。そ
れにしてもクレオパトラというのは才色兼備の美人だったようだ。「恋をするなら
、クレオパトラか楊貴妃か」と嘯いた学生時代を思い出した。
 展覧会鑑賞後のランドマークタワー69階探索も面白かった。数日前に樋口いく子(
佐賀医科大学出身の医師)著「ハマの風―富貴楼お倉物語」を読んで、文明開化期の急
激な発展振りに強い感銘を受けたが、今の「みなとみらい」地区のその時代に劣らぬ急
速な発展振りも驚いた。それほど頻繁に訪れている訳ではないが、その度に新しいビルが建
ち、景観が一変しているからである。

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July 02, 2009

北康利「吉田茂―ポピュリズムに背を向けて」を読む。

 先日北康利「吉田茂―ポピュリズムに背を向けて」読み終えた。
 「今の日本に決定的に欠けているのは『強い政治家とそれを信頼して任せる国民の存在』があったればこそだという認識はそう大きくは間違っていないのではないか」という「あとがき」での指摘は同感である。
 吉田茂政権の時代は我々の小学校と中学の初めにかけてであるが、現代とは桁違いにスケールの大きな政治家だったのだと改めて感銘を受けた。
 晩年、彼の秘書だった依岡顕知が今後のわが国の課題について尋ねた際に、吉田は「相手国の立場を考えての貿易の伸張、国際社会での信用を失わないための役割分担などが、我が国の今後の課題ですね」と言ったという。また「他人をうまく助けることができなければ、人間一人前とはいえません」といったとも言う。国際社会での役割分担の課題は充分に果たしているとはいえないし、「人を傷つけるばかりで、助けることなど念頭にもない」人間ばかりがのさばっているのも気になるところである。
 北康利は天王寺高校→東大法→富士銀行→みずほ證券を平成20年に退職して作家活動に入った伝記作家。

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