エーゲ海クルーズ体験記
さる6月末から7月初旬にかけて、大学のクラスメート夫妻15人で、東地中海クルーズに行ってきた。海の都ベネチアを出発して、各地に寄港しながら、アドリア海からイオニア海を経て、エーゲ海のサントリーニ島とアテネの外港ピレウスまで行き、そこから折り返しまたベネチアに戻ってくる7泊8日のミドル・クルーズである。
本船はMSCアルモニアと言う船で、ジェノア・サミットの際、小泉首相をはじめ各国首脳が泊まった船(当時はEuropean Visionと言ったが、その後改名)である。本船のキャビンは基本的にはベランダ・バスタブ付きの部屋を最高クラスとし、それ以外は海側キャビンと内側キャビンの3クラスの編成で、スィートなど上には上が無い。我々は数万円の差ならと言うので、この最上階キャビンを選んだが、ベランダから水平線を黄金色に染めてのご来光と日没の光景を満喫でき、ゴージャスな気分に浸れた。ベランダ付き以外の部屋は壁からベットを引き出すと4人の宿泊が可能であり、しかも18歳以下の子供は2人まで無料だと言う。
また初夏の東地中海は波静かで、殆ど揺れを感じることなく、必ずしも船酔いに強くないご夫人も含まれていたが、全く船酔いすることは無かった。寝ている間に次の寄港地に着き、上陸して半日くらい観光と言うリズムは体に極めて心地よい。しかも東地中海は海の女王だったヴェネチアの海洋民族としての通商活動の活躍の舞台であり、トルコや十字軍の攻防の跡がいたるところに残されている。さらには古代ギリシャの繁栄の見事さにも浸ることが出来る。ヨーロッパ地中海世界の歴史の厚みに圧倒された旅でもあった。
さらに感心したのは乗組員の構成であった。キャビンやデッキの清掃係はインドネシアのバリ島出身者、サモア人などが何百人と言う単位で働いており、人目につくレストランのウエイター、ウエイトレスは金髪、碧眼、長身のルーマニア人である。何れも低賃金国である。低賃金国の船員を大量に雇用し、中産階級にもゴージャスな気分を味わえる料金構成を実現したビジネス・モデルには学ぶべきものがあると感じた。
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